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看護師の夜勤回数に上限はある?72時間ルールと偏らない勤務表の作り方

夜勤に入れるスタッフが減り、気づけば特定の人ばかりが夜勤に入っている。月末に集計してみたら、夜勤時間の平均が思ったより高い。「このままで施設基準は大丈夫か」「あの人の夜勤回数は多すぎないか」と不安になっていないでしょうか。
この記事では、看護師長・勤務表担当者の方に向けて、看護師の夜勤回数の「上限」をどう考えればよいか、72時間ルールとの関係、二交代・三交代での違い、偏りをなくすための勤務表の作り方を整理します。
この記事の結論
- 夜勤回数の問題は、1人あたりの回数・病棟全体の夜勤時間の平均・個人の間隔と連続の3つを同時に見ないと解決しない
- 1人あたりの上限は法律ではなく病棟のルール。上限回数・最短間隔・連続夜勤の禁止を明文化しておく
- 月末の集計で気づくのでは手遅れ。勤務表を作る段階で回数と平均時間を集計し、見える化する
目次
1. 看護師の夜勤回数に「法律上の上限」はあるのか
まず前提として、看護師1人あたりの月の夜勤回数について、法律で一律の上限が定められているわけではないとされています。
労働基準法には、労働時間や休憩、休日についての決まりがあります。夜勤もこれらの範囲内で組む必要がありますが、「夜勤は月○回まで」という回数の決まりはありません。日本看護協会のガイドラインでは「三交代は月8回以内を基本」といった目安が示されていますが、これも法律ではなく、それを取り入れるかどうかも含めて、1人あたりの回数は各病院・各病棟が決めるものです。
一方で、看護の夜勤には病棟全体で守る基準があります。それが、いわゆる「72時間ルール」です。つまり看護師の夜勤は、
- 個人ごとの回数(病棟のルール)
- 病棟全体の夜勤時間の平均(施設基準)
という、性質の違う2つの物差しで管理する必要があります。ここを混同すると、「1人ずつは上限を守っているのに、病棟の平均が基準に近づいている」「平均は問題ないのに、特定の人だけ極端に多い」といったことが起こります。さらに、回数が同じでも並びがきつければ負担は大きくなるので、間隔と連続も含めた3つの物差しで見ます。

2. 72時間ルールとは:病棟全体の「平均」を見る基準
72時間ルールとは、入院基本料の施設基準で、看護職員の月平均夜勤時間数が72時間以下であることが求められる、という決まりです。計算の対象になる職員の範囲や時間の数え方には細かな決まりがあり、たとえば次のように定められています。
- 夜勤時間は、病院が定める「22時〜翌5時を含む連続16時間」(夜勤時間帯)の中で実際に勤務した時間で数える
- 月平均は同じ入院基本料を算定する病棟全体で計算する(複数の病棟があれば合算。病棟ごとに72時間以下である必要はない)
- 夜勤専従の職員や、月の夜勤時間が一定時間に満たない職員は計算に含めない
- 療養病棟入院基本料の病棟は、この要件の対象外
最新の基準は厚生労働省の情報をご確認ください。
出典:厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和6年3月5日 保医発0305第5号)
ポイントは、これが1人あたりの上限ではなく、病棟全体の平均だということです。
- 平均なので、72時間を超えて夜勤に入る人がいても、ただちに基準を外れるわけではない
- 逆に、夜勤に入れる人が減ると、残った人の夜勤時間が増え、平均が上がりやすい
- 夜勤に入れる人の構成が変わる(退職・休職・新人の入職など)と、同じ組み方でも平均が変わる
そのため、「個人の回数は上限内だから大丈夫」とは言い切れません。夜勤ができるスタッフが減っている病棟ほど、平均がじわじわ上がっていないかを毎月確認する必要があります。
3. 二交代・三交代で、回数の考え方はどう変わるか
同じ「夜勤1回」でも、二交代と三交代では夜勤時間帯に含まれる時間の長さが違います。そのため、72時間ルールに対する回数の感覚も変わります。
| 三交代 | 二交代 | |
|---|---|---|
| 夜勤の形 | 準夜勤・深夜勤に分かれる | 1回の夜勤が長い |
| 1回あたりの夜勤時間 | 短め(例:8時間前後) | 長め(例:16時間前後) |
| 平均72時間に相当する回数のイメージ | 72 ÷ 8 = 月9回程度 | 72 ÷ 16 = 月4〜5回程度 |
| 日本看護協会のガイドライン | 月8回以内を基本 | 労働時間などに応じた回数 |
| 並びで気をつけること | 準夜 → 深夜の間隔、日勤 → 深夜の短い間隔 | 夜勤 → 明け → 休みのかたまり、連続夜勤 |
出典:日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」

表の回数は、1回あたりの夜勤時間を仮に置いて割り算した「計算のイメージ」です。実際の夜勤時間の数え方は勤務時間の設定によって変わり、日勤や遅出のうち夜勤時間帯に重なる時間も数えます。
大事なのは、「月○回まで」という上限は、交代制の形によって意味が変わるということです。二交代と三交代が混在する病棟や、病棟ごとに勤務の形が違う病院では、回数だけでなく夜勤時間で見る習慣をつけておくと、判断を誤りにくくなります。
4. 病棟ルールとして決めておく3つのこと
1人あたりの回数は病棟のルールで決めるものです。次の3つを明文化し、スタッフにも共有しておきましょう。
| ルール | 決め方のポイント | 書き方(例) |
|---|---|---|
| 上限回数 | 夜勤枠の数と夜勤に入れる人数から逆算する。個人の事情で上限を下げる人も決める | 「夜勤は1人月○回まで」「Aさんは月○回まで」 |
| 最短間隔 | 次の夜勤まで何日あけるか | 「夜勤と夜勤の間は○日以上あける」 |
| 連続夜勤の禁止 | 二交代なら夜勤 → 明け → 夜勤、三交代なら深夜の連続などを認めるか | 「明けの当日・翌日に夜勤は入れない」「深夜勤は連続2回まで」 |
決めるときの参考になるのが、日本看護協会のガイドラインです。夜勤の連続は2回まで、2回連続の夜勤のあとはおおむね48時間以上の休息、勤務と勤務の間は11時間以上あける、といった基準が示されています。また、看護職員夜間配置加算などの加算では、「勤務と勤務の間を11時間以上あける」「連続して行う夜勤を2回以下にする」といった項目を含む、夜間の負担軽減の取り組みが要件になっています。最新の基準は厚生労働省の情報をご確認ください。
出典:日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」/厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和6年3月5日 保医発0305第5号)
上限回数は「平均」から逆算する
基本は、月の夜勤枠の数 ÷ 夜勤に入れるスタッフの数 = 1人あたりの平均回数 です。上限はこの平均より少し多めにして、急な欠員に対応できる余裕を持たせます。平均が高くなりすぎる場合は、上限で無理に抑えるより、夜勤に入れるスタッフを増やす(夜勤の独り立ちの計画、夜勤専従の配置など)ことを考える必要があります。
3つをセットで決める
上限回数だけを決めても、間隔と連続のルールがなければ「回数は上限内なのに、短い間隔で夜勤が続く」という勤務表ができてしまいます。回数・間隔・連続の3つをセットで決めるのがポイントです。
5. 夜勤の偏りをなくすための管理のしかた
ルールを決めたら、次は偏りが出ていないかを確認する仕組みです。
夜勤可能者ごとの回数を一覧にする
スタッフごとの夜勤回数を月ごとに並べます。今月だけでなく過去数か月の合計も見られるようにすると、「先月多かった人は今月少なめに」という調整ができます。土日・祝日・年末年始の夜勤は別に数えておくと、負担感の偏りも説明できます。
病棟の平均夜勤時間を「作っている途中」で見る
月末に集計して「平均が高かった」と気づいても、その月の勤務表はもう動かせません。勤務表を作っている段階で、今の案だと平均が何時間になるのかが分かる状態にしておくことが大切です。

夜勤できる人の「今後」も見ておく
退職・休職の予定や、新人が夜勤に入れるようになる時期が分かれば、来月以降の平均の見通しが立ちます。夜勤に入れる人数の変化は、回数の偏りと平均の両方に直結します。
6. 手作業で回数を均すのが難しい理由
ここまでのことを、手作業の勤務表で毎月こなすのは簡単ではありません。
- 希望休や研修が入ると、その日に夜勤に入れる人がさらに減る
- 回数をそろえようとすると、間隔や連続のルールが守れなくなる
- 個人の回数・病棟の平均・間隔を、組みながら同時に計算し続ける必要がある
夜勤に入れるスタッフが限られる病棟ほど、この「同時に満たす」作業は難しくなります。担当者の努力で解決するというより、仕組みで解決する領域です。
シフト自動作成では、上限回数・最短間隔・連続夜勤の禁止などをルールとして登録すると、全員分・1か月分の組み合わせをまとめて計算し、回数が偏らない案を出します。担当者は出てきた案を確認し、必要なところだけ直します。回数の平準化は、全体を一度に見渡して組み合わせを探す自動作成が最も得意とする領域です。
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まとめ
- 看護師1人あたりの夜勤回数に法律上の上限はなく、病棟のルールとして決める
- 72時間ルールは同じ入院基本料の病棟全体の月平均夜勤時間の基準。個人の上限とは別の物差しで管理する
- 二交代と三交代では1回の夜勤時間が違うため、回数だけでなく夜勤時間で見る
- 上限回数・最短間隔・連続夜勤の禁止の3つを明文化し、セットで運用する
- 月末の集計では手遅れ。作る段階で回数と平均を見える化し、平準化は自動作成に任せるのが現実的

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よくある質問(FAQ)
Q看護師の夜勤は、月に何回までが妥当ですか?
A法律で一律の上限が決められているわけではないため、病棟ごとに決めます。月の夜勤枠の数を夜勤に入れるスタッフの数で割った平均をもとに、二交代・三交代の違いや72時間ルールの平均、日本看護協会のガイドライン(三交代は月8回以内を基本)も確認しながら、急な欠員にも対応できる数を上限にするのが基本です。
Q72時間を超えて夜勤に入っている看護師がいると、基準違反になりますか?
A72時間ルールは、同じ入院基本料を算定する病棟全体の月平均夜勤時間についての基準とされているため、1人が72時間を超えても、ただちに基準を外れるわけではありません。ただし、特定の人に偏ると平均も上がりやすくなります。計算の細かな決まりを含め、最新の基準は厚生労働省の情報をご確認ください。
Q夜勤に入れないスタッフがいる場合はどうすればよいですか?
A育児や体調などの理由を確認したうえで、夜勤の可否や個別の上限回数をルールとして決めておきます。そのうえで、夜勤に入れるスタッフに負担が寄りすぎていないかを回数の一覧と平均夜勤時間で確認し、必要に応じて夜勤専従の配置や、新人の夜勤の独り立ちの計画も検討します。
この記事について
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法令の解釈や個別の事案への判断を示すものではありません。内容は公開・更新時点の情報に基づいています。実際の運用にあたっては最新の公的情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。本記事の情報により生じた損害について、当社は責任を負いかねます。
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シフトのつくりかたについて
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