数字と仕組みで、成長を再現可能にする──シフトメーションの経営企画・コーポレートは何をつくっているのか


「管理が整う」と「事業が伸びる」は、本来同じ方向を向いている

スタートアップが資金調達を終えた直後、真っ先に話題になるのは採用でも営業でもなく、「経営管理をどう作るか」という問いであることが多い。それは、組織が大きくなるにつれて、意思決定の精度を担保する仕組みがなければ、せっかくの成長が再現性のないものになっていくからだ。

シフトメーションも、シリーズAの資金調達を経て、まさにそのフェーズに入っている。事業のプロダクトは育ってきた。営業の型もできてきた。では次に必要なのは何か──その答えを設計しているのが、コーポレート部マネージャーの大浦英人だ。

大浦のバックグラウンドは珍しい。Webマーケターからエンジニアになり、Engineering Managerを経て、そこからIPO準備・経営企画という道を歩んできた。「数字を見る人」と「仕組みを作る人」の両方を一人でやってきたキャリアが、今まさに問われるフェーズにいる。

今回は、シフトメーションが今何を設計しようとしているのかを、大浦に聞いた。


エンジニアだったから、経営企画として見えるものがある

━━Webマーケティングからエンジニア、そして経営企画へ。かなり異色のキャリアパスですね。

大浦 きっかけは、当時の職場で社内AIプロダクトを作る勉強会に参加したことです。そこで開発責任者の目に留まって、「社内でエンジニアを育てるなら最初の一人にならないか」という話をもらいました。技術には元々関心があったので、そのチャンスに飛び込みました。

社内プロダクトの開発を担当してエンジニアとしての経験を積んだ後、エンジニアマネージャーとしてさらに成長したいと思って転職しました。その転職先がヘルスケアのスタートアップで、そこでIPO準備とCRM周りの整備を通じてKPIマネジメントの支援に関わることになりました。それが経営企画・管理部門のキャリアへとつながった出発点です。

━━ご自身の強みは、どこにあると思いますか。

大浦 エンジニアとしてのバックグラウンドが、経営企画の仕事に直接効いているのを感じます。経営企画として現状把握をするとき、財務数値やKPIが「どのシステムで保存・加工され、どの別システムに連携されているか」まで理解しないと、数字の意味を正確に読めません。

一般的な経営企画は、システムから出力された数字を分析して戦略を立案します。でも私は、そのデータがどういうロジックで生成されているか、オペレーションをどうシステムで回すかまで、自分で設計できます。戦略と実行の間にある「仕組みをどう作るか」という部分に、エンジニア経験が直接活きています。これが、自分ならではの強みだと思っています。

━━具体的にはどういう場面で効いてきますか。

大浦 たとえば予実管理の仕組みを作るとき、数字の取得元と加工ロジックの妥当性を自分で検証できます。「この数字は本当に信頼できるか」をシステムレベルで確認した上で意思決定につなげられます。また、業務オペレーションを改善するときも、現場が使うシステムの構造を理解しているので、「実装できない改善案」を出すことがありません。実現可能性を踏まえた提案ができる点が大きいと思っています。


入社して最初に感じた、伸びしろの正体

━━シフトメーションに入社したとき、最初に見えた課題はどこでしたか。

大浦 プロダクトの力も営業の力もある、という手応えはすぐ感じました。では何が足りないかというと、「数字を見て、意思決定して、現場が動いて、それをまた数字で検証する」というサイクルが、まだ十分に回っていませんでした。

KPIを可視化して、適切な会議体を設けてPDCAを回す仕組みを整えれば、成長はさらに加速できると感じました。事業の土台の力はある。経営管理の仕組みが追いつけば、もっと伸びる──そういう確信があって入社を決めました。

━━今、どの領域を担っていますか。

大浦 コーポレート部門全般(経理財務・総務・人事労務・法務・情シス)と経営企画です。管理部門の運営だけでなく、経営戦略の策定や事業計画の設計・モニタリングまでを一体的に担っています。

━━優先順位としては、どこを最重要においていますか。

大浦 事業計画と、その前提となる経営戦略が最重要です。ただ、事業計画の精度を上げるには、予実管理における実績データの正確な取得が必要で、単に優先順位が高いものから順番にやればいいわけではありません。基盤の整備と戦略の設計を並行して進めています。

今の会社に必要なのは、管理強化ではなく2つのことです。1つはKPIマネジメントの精度を上げること──どの数字を見て、何を判断するかの設計です。もう1つは、KPIから注力ポイントを特定して、改善アクションを実行・検証するPDCAの仕組みを整えることです。数字を見るだけでなく、それが行動と結果の改善につながっている状態を作ることが目標です。


シリーズA後に必要なのは、管理強化ではなく経営基盤の設計

━━シリーズA後のスタートアップにとって、コーポレート・経営企画はどういう役割を果たすべきだと考えていますか。

大浦 シリーズBやIPOを見据えた現状把握を行い、フェーズごとに適切なコーポレート体制と経営管理の体制を構築することです。今すべてを完成させる必要はなく、次のマイルストーンに向けて何を・いつまでに整えるかのロードマップを引いて、計画的に進める。それが今の役割だと思っています。

━━「事業が伸びること」と「管理が整うこと」はトレードオフになりませんか。

大浦 今の時点では、事業成長を最優先すべきだと考えています。ただし、管理をないがしろにしていいという意味ではありません。現時点で一定の管理体制はすでに整っているので、事業成長を先行させても問題ない、という判断です。管理が事業成長に追いつけなくなるリスクも常にモニタリングしていますが、今はそこまでの状況ではないと見ています。

「事業が伸びること」と「管理が整うこと」は、本来同じ方向を向いています。どちらかを犠牲にする必要はなくて、両方をどのフェーズでどの順番で整えるか、というデザインの問題だと思っています。

━━予実管理を単に「数字を追う仕組み」にしないためには何が必要ですか。

大浦 まず、正確な現状把握と目指すべき地点を明確にすることです。そこまでの道筋を関係者と議論できる状態にして、各自の役割を明確にすることが出発点になります。

もう一つ大事なのは、トップダウンで決めて落とすだけにしないことです。なぜその目標なのか、なぜその役割なのかを丁寧に伝えて、納得感を持ってもらう。その納得感がないと、数字がモニタリングされても行動は変わりません。

━━内部統制を「ブレーキ」ではなく「推進装置」にするために意識していることは?

大浦 2つあります。1つは、なぜその管理が必要かを、コーポレート部門だけでなく事業側にも理解してもらうことです。もう1つは、管理体制の整備をオペレーション改善と組み合わせて設計することです。管理のために現場の手が止まるのではなく、管理の仕組みが業務効率化にもつながる状態を目指しています。管理と効率化は矛盾しない。そこを意識しています。


数字は道具。大切なのは、現場が動けるかどうか

━━経営企画・コーポレートが現場から浮かないために、何を大事にしていますか。

大浦 経営からのオーダーを共有したり数値を計測したりするだけでなく、現場が本当に困っていることを把握して、一緒に解決に向けて動くことです。コーポレート部門が「管理する側」ではなく「一緒に改善する仲間」でいられるかどうかが重要だと思っています。

━━現場オペレーションを改善するには、数字だけでは足りませんか。

大浦 数字の裏側にある、誰が・何を考えて・実際に何をしているかを把握することが必要です。レポートやダッシュボードを見るだけでなく、現場のメンバーと直接話してコミュニケーションを取り、実態を理解した上でオペレーションを設計することが不可欠だと思っています。

━━現場と経営の間に立つ難しさは、どこにありますか。

大浦 こうすればうまくいくという万能策はないと思います。ただ、KPIなどの数字を共通言語にして議論できる状態を作りつつ、何を優先するか・どのようなアクションを取るかまで具体的に落とし込んでいくことで、経営と現場の認識のギャップを埋めていくことはできます。

実際に成果として感じているのは、KPIの可視化によって注力すべき重点領域が明確になったことです。以前は感覚的だった判断が、データに基づいて検証できる状態に変わりつつあります。まだ道半ばですが、変化は出ています。


これから1年で、何を作るか

━━これから1年で整えたい経営基盤は何ですか。

大浦 B2B SaaSとしての基本的なKPIモニタリング環境はできました。次の1年は、新規投資や既存プロダクトへの投資判断を適切にモニタリングし、経営に提案できる仕組みを作りたいと考えています。IT・SaaS領域は変化が大きいので、投資対効果を見える化して、意思決定のスピードと質を高める基盤の構築が目標です。

━━今入る人に任せたいテーマは何ですか。

大浦 AIを活用した経営管理体制・基盤の構築か、AIを活用したマーケティング・営業オペレーションの改善です。Claude Codeなどの最新ツールを使いこなしながら、業務プロセスそのものを再設計できる人と一緒に取り組みたいと考えています。

━━コーポレート・経営企画の方にとって、シフトメーションで得られる経験をどう見ていますか。

大浦 Claude Codeなどに代表されるAIは、非エンジニアの業務にも大きな変革をもたらしています。それを個人の業務レベルにとどめず、部署や会社全体にどう展開するかは、今まさに各社が試行錯誤している領域です。当社ではその最前線でチャレンジできます。経営管理×AIという、まだ確立されていない領域での経験を積める環境だと思っています。


応募をご検討の方へ──「完成された会社」ではなく「スケールする会社の土台」を一緒に作れる

━━どんな人と一緒に働きたいですか。

大浦 変革を一緒に作れる人です。経営企画・コーポレートいずれも、現状維持ではなく、成長と適切な管理体制の構築に向けた変革が必要です。自分の専門領域を持ちながら、「会社全体として何が最適か」を考えられる人と働きたいと思っています。

━━向いている人・合わない人を率直に言うと?

大浦 向いている人は、仕組みが未整備な状態をチャンスと捉えられる人です。「ここを整えればもっと良くなる」と自ら考えて動ける人は、活躍できると思います。

一方、合わない人は、決まったルールや手順の中で正確に業務をこなすことのみにやりがいを感じるタイプの方です。当社の現在のフェーズでは仕組みそのものを作る・変えることが日常なので、それを楽しめるかどうかが大きいと思います。

AIで何を自動化し、何を人が担うかという境界線は今まさに大きく動いています。それに伴って、従来の仕事のやり方やコーポレート・経営企画の役割分担自体も見直しが必要な局面にある。その変化を前向きに捉えられるかどうかが、ここでは特にポイントです。

━━最後に、経営企画・コーポレート職へ応募をご検討の方へ一言お願いします。

大浦 当社は今、事業の成長に対して経営管理の仕組みを本気で作り込むフェーズにいます。「今あるものをどう使うか」ではなく、「何を作るべきか」から考えられる方に来ていただきたいです。完成された会社に入るのではなく、スケールする会社の土台を一緒に設計できる。そういう経験を求めている方にとっては、これ以上ないタイミングだと思います。

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